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2011年8月

症例報告書

ある病院での出来事です。この病院は認知症の病棟と失語のリハビリ専用の病棟があり、通常、リハビリは別メニューでそれぞれに行われるのですが、たまに合同で「グループリハ」を行うことがあります。この「グループリハ」の時は、認知の病棟へ失語の患者さんを移してから行うのですが、この時、認知の病棟に、いつも車イスで窓の外を眺め、人形を抱っこしているおばあちゃんがいるんです。私は、この患者さんの表情がとても気になったので、担当者は誰かと認知のスタッフに尋ねました。(・・・ここの病院のリハは「担当制」で、患者さんは、看護師、介護福祉士、PT、OT、STの誰かが担当者となり、1か月に1度、自分が担当する患者さん毎に「症例報告書」の提出が義務付けられているので。)すると、やはり「担当者は不在」でした・・・。担当制と言っても、患者さん全員が割り振られているわけではなく、末期の患者さんや、寝たきりの患者さんには、担当者がいないこともあります。そういう患者さんは、反応も変化もないから、報告書にも変化を書きようがない。したがって、経過報告がいつも同じような内容になってしまう。・・・そういう理由から、担当者がつかないそうです。この患者さんは「Y」さん、と苗字で呼ばれていました。高齢の認知症患者が女性だった場合、旧姓との区別がつかない場合が多いので通常は苗字ではなく名前で呼ばれていることが多いのですが、Yさんは苗字で呼ばれていました。私が、Yさんの担当者を申し出ると、認知の担当医が「・・・Yさん?担当になりたい?えー?病棟、違うじゃん、だって、Yさん、知能もないし、ほぼ意識もない。それ知ってるの?Yさん、経管(栄養)だし、嚥下もできないから、STなんか、やりようがないだろ、手を抜きたいの?」・・・その言い方に、むかついたので、私は「とりあえず、所見と経過報告書は都度、出しますから、それを見て判断してください。」と言い残して、すぐその場から、立ち去りました。この方法は、とりあえず事後承諾をもらう手段です。(笑;)
さて、手始めにYさんの病室を管理している看護師にYさんの話を聞くと、何でも、誰でも、近寄るだけで強く「拒否」する性格らしく、今は、誰も近寄れない、毎日のバイタルすらとれない状態らしい。認知の看護師も「Yさんなら、止めた方がいいですよ、あの方、無理ですよ、毎日、お世話している私達でも話すらできないんだから・・・」と、諦めムード全開でした。私は、自分のカンだけを頼りに、休憩時間を使い、Yさんに意を決して近寄ってみました。Yさん、表情が死んでない、感情の自覚もあるし、感情の表現もある、であれば、他者の感情の理解もできるはずだ。たとえ、知的能力はなくても心の知能指数はゼロではないはず。そこに突破口はあるはずだ。そう、思っていました。
しかし、案の定、私が近くによると麻痺してない方の手で「シッシッ」と、あっち行けのサイン。私は、これを、完全無視、気がつかないふりをしました。それでも、Yさん、私のことが気になってきたのか、ジーとこっちを見てきました。今が、チャンスだと思いました。そして、私は、独り言を話し始めました。Yさんとの距離は30センチです。「寂しいなあ、辛いなあ、あーあ、一人で寂しいよ。」これを、数十分、繰り返しました。気が変になりそうなぐらい。すると「あ、あ、あ」と、Yさんが、私に手を伸ばしてきましたので、私は「あ、びっくりした。誰ですか?あなたは、私は知らない人を話すのが苦手なんです。」とさらにトボケました。すると、Yさん、私の手を握り、よしよし、みたいにさすってくれました。すると、遠くから、看護師たちがびっくりして集まってきました。私は、看護師たちに、来ないでくれとサインを出し、「Sちゃん、やさしいね、Sちゃん、ありがとうね」って声をかけると、Yさんは大泣きして、反応してくれました。Sちゃん、というのは名前です。私が名前で声をかけたことが思ったよりうまくいきました。
・・・あれから、3週間経ちました。私が作った「経過報告書」の最後の行です。
「350カロリーゼリー食1回、400カロリーミキサー食2回、経口摂取、むせ、誤嚥なし、完食。嚥下時、喉頭挙上あり、嚥下回数、嚥下時間正常、残留量0、むせ無、ただし、口唇閉鎖不全あり。摂食中は機嫌もよく、こちらからの問いかけには、何度も頷き応じることができた。ただし、人を限定する。」

・・・ということです。 (^-^)♪

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呼吸障害について

呼吸障害で最も有名なのは「睡眠時無呼吸症候群」です。この病気は通称SASと呼ばれるもので、寝ている間に大いびきと無呼吸が交互に現れ、心不全 や 脳梗塞 の原因にもなるそうです。ちょっと???ですが。また、恐ろしい病気という意味で、サイレント・キラーとも呼ばれています。SASは、なぜか、マスコミに人気があって、テレビでもよく取り上げられます。テレビでは、死に直結する怖い病気というイメージが出来上がっているように思えますが、よほどの高齢か、何かの病気で体力が弱まっていなければ、睡眠中の窒息は死につながるなんてことはありません。まあ、普通の風邪でも死ぬ時は死にますので、怖くない病気なんてないんですが。それと、いびきが危険サインだ、というのも納得できません。いびきは呼吸筋(特に上気道を構成する筋肉)の緊張が弱まった時に起こるものです。なので、風邪をひいたり、お酒を飲んだり、ウィルスで扁桃腺が腫れたり、高齢になったり、少し太ったり、あるいは、寝不足だったり、疲れたりすることで、普通にいびきはかきます。男性なら、7割ぐらいの人がいびきをかくと思います。病院の見回りのときなどは、呼吸が止まっている患者さんをみると一瞬、焦りますが、SASであると分かると、ほっとしますし、そのまま何もしません。ちなみに、いびきを治したいという主訴で病院に行くと、SASと同じ治療をするそうです。・・・予防としては、お酒を飲まない、コレステロールをとらない、運動をする、らしいです。つまり、大したことはない、ということです。
さて、先ほど、SASならほっとすると書きましたが、ほっとするというのは、いびき+無呼吸より、もっと怖い状態があるからです。それは、深くゆっくり呼吸していて一瞬、呼吸が停止する「中枢性睡眠時無呼吸」の徴候がみられる時です。これは、「チェーンストークス呼吸」といって、死の徴候の一つです。チェーンストークス呼吸の徴候が見られた場合は、呼吸中枢が低酸素症になっているので、この時点で脳出血か脳梗塞、あるいは、動脈血循環不全が起きているということになります。かなり危険な状態です。即、強制酸素吸入、あるいは、それで中枢神経が働かなければ気管切開+人工心肺となります。なので、私は、いびきなんて、かわいいものだと思っていますし、ある意味、健康な証拠だと思っています。(笑;)

・・・ということです。 (^-^)♪

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医療とリスク

介護施設で利用者が「トイレは一人で入りたい」と強く言った場合、介護者は、ドアの外にでていいか・・・という問題があります。考え方はいろいろありますが、私は認知症がなければ「OK」、認知症があれば、多少、ふらつくレベルでも「NG」だと考えて行動しています。でも、過去にトイレ介助の訴訟は何件も起きていて、だいたいは注意義務を怠ったとして施設側に高額な損害賠償が命じられています。つまり、施設側の敗訴です。それでも私は、認知がなければ、ドアの外に出ています。でも、これが、いつも病院側と対立するんです。
一昨日も、こんなことで「対立」がありました。事件は介護施設ではなく病院でしたが、ある患者さん(大脳左半球損傷、右半身麻痺、失語症)が、上着を着ようとしていました。その患者さんは、なぜか健側の腕だけに袖を通し、患側だけを残して、やっぱり着れないからからと言って、スタッフを呼んでいました。そこに、偶然、私が通りかかったので、「あれ、Tさん、どうかしました?」と、声をかけました。Tさんは、顔をしかめながら「これ・・・着れないから」と言ったので、私は、分かりましたと言いながら、袖から健側の手を出そうとしました。すると、Tさんは「だめ、それじゃあ、着るのも練習だから」と、私の手を制止したんです。私は「分かりましたけど、こっちからでは着れませんよ。無理です。だから、こっち(麻痺側)から着ましょうよ。」というと「絶対、嫌だ」と言い、無理やり一人で着ようとしました。Tさんは、認知症がありません。言葉がうまく話せないだけの患者さんです。なので、私は、やむなく「じゃあ、服を少しひっぱりますよ」と言いながら、患側の手が入りやすいように服を引っ張って、手を少しづつ袖の方に動かしていました。Tさんが「痛い・・・」と言ったので、止めました。その後、Tさんも着れないことに納得したので、袖から手を出し、患側から着せなおしました。事件は、その後、起きました。その一連のやり取りをどこかの看護師が見ていて、それを大げさ?に医局の部長に報告したんです。案の定、私は、呼び出し、始末書、反省文、掲示板への張り出し・・・と大変な騒ぎになりました。
「何て事をしてくれたんだ君は・・・。」と、部長が血相を変えて激怒していましたが、私は、言い訳が面倒なので「勝手に処分してください。」とだけ言って帰りました。
私は、考えられるあらゆるリスク(骨折や捻挫など)は考慮していましたし、間違った行為はしていないという自信もありました。委縮医療などにもつきあうつもりもないし。そう思っていました。翌日といっても昨日ですが、私に「行動命令書」が届きました。そこには、患者に触ってはけない、と書かれていました。・・・笑えます。Tさんは私の患者さんなので、触らず訓練なんてできるわけがない。昨日、は通常通り、Tさんと接しました。でも、会うと、すぐにTさん、眼を充血させて「ご・め・ん、オレのせいでおこられた・・・でしょ」と言ってくれました。私は「Tさん、情報早いね。でも、怒られてないから、大丈夫。何の問題もないから。」そう言いながら、Tさんの右手を軽くマッサージしてあげました。

・・・ということです。 (^-^)♪

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知識と性格

勉強して、いろんな知識を身につけると、その知識量に伴ってその人の「性格」が変わります。性格は、その人の経験を通じて作られていくもの、と一般には考えがちですが、それは子供のころの話で、大人になると、体験より知識の有無の方が性格に影響を与えます。もっとも顕著な例は「英語」です。英語は、とくに微妙な内面(気持ち)を言葉にして現すことが難しいので、かなり変わります。英語が話せるようになると、なぜか、みんな次第に大胆になり、積極的になります。特に、女性は別人のようになります。男性は、誰か好きなキャラクターかドラマで見る俳優さん、あるいは、知り合いの人とか、誰かをモデルにして自分のキャラクターが作られていきます。また、英語を勉強すると目上の人にも堂々と意見が言えたり、断りにくいことでもきっぱり断れたり、そういうキャラになっていきます。このように性格の変化は、イイこともありますが、そうではないこともあります。たとえば、専門知識を身に付けた場合は、全般的に謙虚さが徐々に無くなっていきます。プラス面では、優柔不断さがなくなり決断力が向上します。で、気をつけたいのが、中途半端な知識を身につけた時の「性格」の変化です。知識が中途半端なので、周囲からは「知ったかぶり」「そのくせ大したことはない」「常に意地悪」と評価されてしまいます。・・・最悪なのは、もともと性格が良くないのに、中途半端な知識を身につけ、さらに性格が悪化してしまった人です。人をバカにする、とにかく言い訳する、話は聞かない、自信過剰、無神経、鈍感、、、、きりがありません。
・・・いるんですよ、そういう人が、すぐそこに。(笑;)

・・・ということです。 (^-^)♪

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排泄について

膀胱に尿が溜まることを蓄尿といい、尿を尿道から排泄することを排尿といいます。蓄尿と排尿の神経的メカニズムは似ていて、共に交感神経(下腹神経)、副交感神経(骨盤神経)、体性神経(陰部神経)の3つが支配しています。膀胱に尿がたまり膀胱内壁が伸びてくると、下腹神経が膀胱を緩ませ、内尿道括約筋も弛緩します。この時、外尿道括約筋を収縮させると、尿漏れを抑制できます。
排尿は、脳幹部(橋)にある上位排尿中枢から発した指令を下位の排尿中枢に伝え、膀胱に強力な収縮を起こさせます。同時に内膀胱括約筋、外尿道括約筋を弛緩させ、排尿が行われます。トイレに急いでいる時は、排尿の準備はできているが排尿を抑制している状態なので、膀胱は収縮、内膀胱括約筋は弛緩、外尿道括約筋だけが収縮して、頑張っている・・・という状態です。一方の排便は、食物が消化され便となり、その塊が直腸に移行すると、直腸壁の「マイスネル小体」と呼ばれる感覚器から指令が発せられ仙髄、脊髄後索、延髄、大脳皮質知覚野に順に伝達され、脳が便意を感じます。便意を感じた時点で、反射的に直腸が収縮され、内肛門括約筋が弛緩し、排便の準備を行います。しかし、排便は外肛門括約筋が弛緩されたり、横隔膜や腹筋で腹圧を上昇させなければ、排便できないので、尿よりは我慢しやすくなっています。こちらも、トイレに急いでいる時は、内肛門括約筋が弛緩されつつも外肛門括約筋だけ収縮し、頑張っているという状態です。ちなみに、尿もれが便もれより多いのは、便の方が留まりやすい、つまり、排泄しにくい構造でできているから、と、大腸の方が消化管の構造上、交感神経の刺激を受けやすいからだと思います。簡単に言うと、副交感神経は、排泄OKな立場で、交感神経は排泄NGの立場なので、外肛門括約筋の方が外尿道括約筋より強力で大きいし、その分、交感神経の影響を受けやすいから、なのではないでしょうか。でも、違うかもしれません。あんまり自信ありません。

・・・ということです。 (^-^)♪

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