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頸部聴診について

頸部聴診は、通常、呼吸音を検査するために行うもので「誤嚥」が懸念される場合に、誤嚥スクリーニング(簡易)検査と同時に実施されるものです。嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込むことで、嚥下中枢(脳幹部)や皮質延髄路、あるいは、知覚や運動神経(迷走神経など)に関係しています。つまり、嚥下の障害は、ALS(筋萎縮性側索硬化症障害)の患者を始め、脳血管障害、あるいは、神経疾患、外傷、頭蓋内手術後の後遺症など、様々な疾患に合併して起こります。検査は、問診から始めることが普通ですが、失語症患者や運動性の麻痺、あるいは、構音障害がある患者では、問診が難しいため、視診、触診から始めます。私の場合ですと、問診ができない場合は、まず虫歯があるかどうか(笑;)を見ます。これで、咀嚼力の低下の程度がわかります。次に、空嚥下をしてもらい、喉頭に人差し指と中指を当てながら、咽頭の嚥下筋の筋力低下を見ます。これで、唾液の分泌量や嚥下反射、喉頭挙上の有無と挙上距離、口唇閉鎖機能、がわかります。それと、嚥下に対する、注意力、理解力、運動力、集中力もわかります。頸部聴診は、この後に行います。通常は、少量の冷水を用意し、これをとりあえず飲んでもらいます。健常者の頸部聴診音は、スー、ゴッキュン、スーというものですが、嚥下に障害がある方の場合、これが、様々な音に変わります。希に、水を飲む前から、咽頭残留による貯留音(猫がゴロゴロ言う時の音)があったり、気道狭窄音(遠くで笛が鳴っているような音)が聞こえることもあります。その場合は、この時点で、誤嚥が断定できます。
さて、頸部聴診で、一番大切なのは、嚥下前後の呼吸音です。私の感覚ですが、誤嚥があると、スー、ゴク、ゴク、ツツツツーと湿性音が聞こえるパターンがよくあります。ですが、それも前後で差がなければOKです。誤嚥はありません。要は、嚥下前後の呼吸音に「差」がなければいいんです。私は、その「差」だけに集中します。また、嚥下中に、むせがあった場合は、喀出音も大切です。誤嚥したものが、出せたか出せないかは喀出音でわかります。嚥下音が、小さく数回にわたって聞こえる場合は、不顕性誤嚥(水や食塊以外で誤嚥する)のリスクがあります。ちなみに、聴診器をあてる位置ですが、これは、人によります。通常は、頸部の側面ですが、皮下脂肪が邪魔して聞こえにくい場合があります。その時は、甲状軟骨直下の気管外側上の皮膚面に、水平に聴診器をあてます。角度的に雑音が入りますので、部屋は静かにします。ここは、食道入口部や気管支に近くなりますので、喘鳴や痰がからむようなゴロゴロという小さな呼吸音が聞こえても、クリアな呼吸音があればOKです。最初は、私も呼吸音の違いがわかりにくかったです。聴診器を常に携帯し、自分が誤嚥した時は、チャンスとばかり、即、聴診しました。以前、外食中にこのチャンスがあり、慌てて聴診器を出したら、近くにいた人が「大丈夫?ですか?」と、声をかけてきました。恥ずかしい思い出です。(笑;)

・・・ということです。 (^-^)♪

それでは、明日のために頑張ってください。

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